お知らせ
植物エキス発酵飲料から分離した多糖の機能性を確認

~「Journal of Applied Glycoscience」に論文掲載~

 

大高酵素株式会社(本社:北海道小樽市、代表:今井 政一)は、当社にて開発した植物エキス発酵飲料「スーパーオータカ」由来の多糖類を用いたin vitro試験において、サイトカインの産生を誘導することが確認されました。

●研究の背景
当社は植物エキス発酵飲料(スーパーオータカ)の機能性について調査を行っており、抗酸化物質が存在していることを既に報告しています。オリゴ糖についても検索しており、既知のものも含めて20種類以上のオリゴ糖が含まれていることが確認されています。これらのオリゴ糖については、ピラノース型のフルクトース残基を有する新規オリゴ糖もいくつか見出しております[1-5]。さらにGABAやD-アミノ酸の存在も確認しています。多糖類についてはβグルカンの存在を確認しました[6]が、その他の多糖についての調査はほとんど行われていませんでした。植物や海藻などの多糖類や乳酸菌等の微生物が生成する多糖(EPS)には免疫賦活作用などの機能性が報告されています。スーパーオータカは多種類の植物や海藻を原料としており、乳酸菌や酵母により自然発酵して製造されるため、β-グルカン以外にも多糖の存在が期待されます。そのため本研究では、まずは水溶性の多糖をターゲットとして、スーパーオータカ中の多糖の分離を試みました。また、若干の機能性についても調査しました。

●研究の成果
本研究では、植物エキス発酵飲料「スーパーオータカ」から限外濾過や各種クロマトグラフィーにより、β-1,3グルカンとは異なる多糖を4種類分離しました。4種類とも分子量や構成糖は大きく異なっていました。この多糖の機能性を調べる目的で、分離した多糖を添加した培地でマクロファージ様細胞を培養し、培地中のサイトカインを測定したところ、分離した多糖のいくつかはサイトカインの産生を誘導しました。これらの多糖類による刺激により、マクロファージからIL-12 p40などのサイトカインが生成されており、このことからナチュラルキラー(NK)細胞とT細胞が活性化され、抗がん効果に寄与する可能性が示唆されました。分離された多糖は、植物原料由来か発酵微生物由来かは今のところわかっていません。また、分離した多糖のうちいくつかはリンを含む酸性多糖でした。

本研究成果は、応用糖質科学ジャーナル『Journal of Applied Glycoscience』の2024年第71巻第2号に全文掲載されました。
「Polysaccharides from a Fermented Beverage Induce Nitric Oxide and Cytokines in Murine Macrophage Cell Line」(日本語:発酵飲料由来の多糖類がマウスマクロファージ細胞株で一酸化窒素とサイトカインを誘導する)

●研究の意義
植物エキス発酵飲料「スーパーオータカ」から単離された多糖類に関する当社の in vitro 研究は、発酵飲料がマクロファージを刺激し、免疫系を活性化する可能性を示唆しています。しかし、in vivoでの試験はまだ行われていないので、ヒトを対象とした試験を実施できればと考えています。
この多糖はヒトの胃酸や各種消化酵素により分解を受けないことが予想されるので、小腸および大腸まで到達すると考えられます。よって、腸管免疫におけるこれらの多糖類の役割をさらに研究することは興味深いと思われます。ただし、この研究を継続するにあたり、スーパーオータカから大量に多糖を分離することは非常に時間がかかります。前述の通り、分離された多糖は植物原料由来か発酵微生物由来かわかっていませんが、発酵に関わる乳酸菌の菌体外多糖(EPS)の可能性も考えられます。仮に発酵微生物が目的の多糖を合成しているようであれば、培養条件の検討を行うことで大量に多糖を取得できるようになるかもしれません。そうなればいろいろな実験を行うことが可能になり、研究が進展することが期待できます。
最後に、腸管免疫におけるこれらの多糖類の役割をさらに研究することは興味深いと思われます。今後、これらの多糖類の構造と機能の関係をさらに探求できればと考えています。

1) H. Okada, E. Fukushi, A. Yamamori, N. Kawazoe, S. Onodera, J. Kawabata and N. Shiomi: Carbohydr. Res., 341, 925-929 (2006).
2) N. Kawazoe, H. Okada, E. Fukushi, A. Yamamori, S. Onodera, J. Kawabata and N. Shiomi: Carbohydr. Res., 343, 549-554 (2008).
3) N. Kawazoe, H. Okada, E. Fukushi, A. Yamamori, S. Onodera, J. Kawabata and N. Shiomi: Open Glycosci., 1, 25-30 (2008).
4) H. Okada, E. Fukushi, A. Yamamori, N. Kawazoe, S. Onodera, J. Kawabata and N. Shiomi: Carbohydr. Res., 345, 414-418 (2010).
5) H. Okada, E. Fukushi, A. Yamamori, N. Kawazoe, S. Onodera, J. Kawabata and N. Shiomi: Carbohydr. Res., 346, 2633-2637 (2011).
6) A. Yamamori, N. Kawazoe, H. Okada, A. Arai, S. Oka and M. Hirata: The 6th annual meeting of the Japanese society for complementary and alternative medicine, P65, Sendai, Japan (2003).

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